20代女性 マルチブラケット装置やヘッドギアを併用した矯正治療で出っ歯を改善した症例
2025.11.09
治療前
治療後
| 年齢と性別 | 20代 女性 |
|---|---|
| ご相談内容 | 「出っ歯が気になるので診てほしい」とご相談いただきました。 |
| カウンセリング・診断結果 | 患者様は3年前に上顎の左右犬歯までの前歯6本を部分矯正しており、矯正治療後に歯並びが元に戻らないよう、上顎の前歯4本の裏側に「固定式(Fix)リテーナー」を装着していました。 また拝見したところ、上顎の奥歯が下顎の奥歯よりも前方に位置している「アングルの分類2級」に該当し、歯の位置や傾斜によって上顎の前歯が前方に突出している「歯槽性(しそうせい)上顎前突」の状態でした。 この状態を放置すると、前歯の突出により口が閉じにくくなり、口腔内が乾燥して虫歯や歯周病のリスクも高くなるため、矯正治療で見た目と噛み合わせを改善する必要があると診断しました。 |
| 行ったご提案・治療内容 | 診断結果をお伝えした上で、以下の治療方針を提案しました。 ①上顎の左右奥歯(第1小臼歯)2本を抜歯する メリット:歯が正しい位置に並ぶようにスペースを確保し、前歯の突出を改善して口元のバランスを整えることができる デメリット:健康な歯を抜くことになる ②歯の表面に接着した四角い装置(ブラケット)にワイヤーを通して歯を動かす「マルチブラケット装置」を使用し、歯を移動させる メリット:歯を3次元的に精密に動かせるため、幅広い症例に対応できる デメリット:装置が目立ちやすく、口腔内の清掃が難しくなるため虫歯のリスクが高まる ③ワイヤー状の装置(トランスパラタルアーチ)を使用し、上顎の左右奥歯を連結して固定し、前方に移動することを防ぐ メリット:上顎奥歯の不要な移動を防ぎ、歯並びが安定するようにサポートできる デメリット:口の中の天井部分「口蓋」に装着されるため、話しづらさや食事の不便さを感じることがある ④外部装置のヘッドギアを頭部に装着する メリット:上顎の成長を抑制するとともに、上顎の奥歯を後方に移動させることで歯が正しい位置に並ぶスペースを確保して、前歯の突出を改善させる デメリット:長時間の装着が必要で、見た目や装着感に対する心理的な負担がある それぞれのメリットとデメリットを丁寧に説明し、治療に同意いただきました。 まず、上顎の奥歯(第1小臼歯)を抜歯し、マルチブラケット装置でワイヤー矯正を行います。 ワイヤー矯正で後方に移動した奥歯が前方に移動するのを防ぐために、トランスパラタルアーチで上顎左右奥歯を連結、固定しました。 また、前歯のスペースを確保するために頭部にヘッドギアを装着していただきました。 計画通りに治療を進め、見た目と噛み合わせが改善したことを確認し、治療を終了しています。 |
| 治療期間 | 2年6ヶ月 |
| おおよその費用 | 850,000円 |
| 術後の経過・現在の様子 | ... |
| 治療のリスクについて | ・治療中、発音しにくい場合があります ・歯の移動に伴って、違和感や痛みを感じる場合があります ・冷たいものを飲んだときに歯がしみる「知覚過敏」の症状が出る場合があります ・正しいブラッシングやメンテナンスを行わない場合、虫歯や歯周病のリスクが高まります ・持病をお持ちの方や、服用中のお薬の種類によっては、外科処置ができない場合があります ・外科処置後に腫れ、出血が生じる場合があります |
治療前詳細
治療後詳細
この症例の担当

末石 奈保
所属学会
- 日本矯正歯科学会
- 東京矯正歯科学会
- 日本舌側矯正歯科学会
- 日本小児歯科学会
- 日本矯正歯科学会認定医
